前足の動き
前足の動きについて解説します。
一般的に、投球時には、一旦前足を浮かせて前進し、着地してから投げます。
この際の前足の浮かせ方の注意点ですが、必要最小限の高さで十分です。(⇒脚は高くあげなくていい)
多くの人に、前足を高く上げるフォームがイメージとして定着してしまっています。
これは、多くの日本のプロ野球選手がそうであることや、
そのプロ野球選手も、更に昔の選手や巨人の星といったアニメや漫画で野球のイメージを覚えたためです。
並進運動は、前足を前に移動させ、身体全体の位置を少し前に移動させる動作なので、
脚を高くあげる意味はほとんどないのです。
むしろ、前脚を高く上げることによって、バランスを崩したり、筋肉が硬直したり、タイミングが狂ったり、盗塁されやすくなったり、投球テンポが遅くなったりと、
悪い影響はたくさんあります。
ですから、この点には注意してください。
前足は曲げすぎない
前足を曲げすぎるのも日本の多くの選手の悪い癖です。
球を投げる瞬間を分析してみると、
メジャーの投手はほとんどが、前足をほとんど伸ばした状態で投げています。
一方、日本の投手はほとんどが、前足がかなり曲がった状態で投げています。
多くの人がそうやって投げているし、そうやって教えられているからです。
○日本の教材で紹介されている「良いフォーム」の例
○ペドロ・マルティネス投手
全然違うのが分かると思います。
というか、難しいことを抜きにして、メジャー式のほうが明らかに「速そう」だし、「きれい」だし、「自然」だし、「正しそう」なのがすぐ分かりますよね。
分かっていない人ほど、「外人は手投げ」とよくいいますが、実は日本人のほうが「手投げ」なのです。
膝を曲げてしまう理由は、(軸足の動き)で書いたように、
前へ前へという意識が強すぎることで、ステップが必要以上に大きくなり、
前足を曲げてまで前にいこうとすることが最大の原因です。
一昔前は、「膝に土が付くほど前に踏み出せ」などと教えられていました。
さらに、上の画像でもわかるように、膝を曲げて投げるというのは、股関節が横回転していない証拠なのです。
日本式のフォームでは、前足は着地した後、全く動かず、御役ご免という感じです。
一方のメジャー式フォームでは、前足がわずかに曲がっていたのが、投げ終わった後には伸びています。
つまり、球を投げる瞬間に合わせて、前足を伸ばして、その力を伝えることで股関節を回転させているのです。
これをタイミングよく行えれば、膝を曲げる投げ方に比べ、球速が5~10km上がります。
日本では、下半身の強化をやたらと言うくせに、下半身の力は引き出せていないという、とても笑える状態なのです。