目的の部分に近いほど動作の重要性が高まることについて

動作の重要性は、目的の部分に近いほど上がる。

動作等を改善するときに、「目的に近い部分ほど重要」であることを知っておくと便利です。

 

 

投球でいえば最も重要な部分は、ボールを直接投げる最後の部分「リリース」です。

 

 

バッティングで言えば、「インパクト」ですし、

 

 

守備で言えば、「送球の到達時間」です。

 

 

他の付帯動作は全てこの目的のために行われていると言ってもよいでしょう。

 

 

逆に最も遠い部分、投球でいえば、「振りかぶり」だとか、「前脚の上げ下げ」だとか、「ヒップファースト」だとか、「グラブ側の腕の動き」などは

 

 

はっきり言ってどうでもよい部分なのです。

 

 

どうでもよいというのは言いすぎでも、直すところが盛りだくさんの人がそんなところを意識している時点で本末転倒です。

 

 

そんなところに気を使うのは、球速が140km/hを超えてからにしなさいということです。

 

 

例えるなら、偏差値30の人間が、東大の正答率10%の過去問を見てあーでもないこーでもないと、言っているようなもの。

 

まず四則演算の反復や英単語の暗記から始めなさいということです。

 

 

あるいは、年収100万円のフリーターが節税のノウハウを勉強をしているようなものです。

 

まずは年収を上げなさいということなのです。

 

 

どうでもよい部分が気になるのは本質から逃げているから。

 

 

面白いことに、みんなが上手くいかないような、難しいことほど、どうでもよい部分が注目されます。

 

 

ピッチングで言えば、「前脚が接地した瞬間からリリースまで」の部分がボールの加速動作の中核であり、フォームの本質ともいえる部分です。

 

 

ですが、実際、この部分はあっという間に終わってしまいます。

 

 

構えとか足の上げ方を悠長に眺めているうちに、いつの間にかビュッっと投げて終わってしまうのです。

 

 

素人ではほとんど違いが分からないし、野球経験者でもスローで何回も見直さないと分からないものです。

 

 

一方で、ものすごくわかりやすい部分もあります。

 

 

それは、構え~並進運動の部分

 

 

動きが大きくて遅いので、素人が見てもよ~くわかります。子供も真似できるくらい分かりやすい。

 

 

野茂選手や、松坂選手や、渡辺俊介選手、

 

 

打者で言えば、松井選手やイチロー選手や王選手の「真似」はみんなしていますね。

 

 

真似しても同じような結果が出来ないのは、「動作の中核」ともいえる部分を見ていないから、見ても理解できないからです。

 

 

ですから、分かりやすい部分の違いに逃げてしまうのです。

 

 

この悪癖は、野球の研究者や指導者も例外ではありません。

優先順位の履き違えとこじつけに注意

 

そのように倒錯した視点で書かれた書籍等を見ると、

 

ヒップファーストや前脚の動かし方について30ページかけて解説していたかと思えば、

 

肝心の「腕のしなり」をどう出すかといった部分に全く解説がないというようなケースがよくあります。

 

 

この人は実際に自分でやったことがあるのか?といつも思います。

 

 

私は実際に様々な投げ方をしましたが、ケツや前脚なんかどう動かしたって、130kmは投げれます。

 

 

せいぜい5km/hくらい変わればいいほうなのではないでしょうか。

 

 

 

また、並進運動も回転運動もどちらも無くたって、ノーステップから身体のしなりだけで110km/hは投げれるのです。

 

 

一方で、腕と肩の伸張反射やしなりを全く使わないで投げると、どうやっても50km/hくらいにしかなりません。

 

 

腕をのばしたまま、思いっきり並進運動をして、胴体を回転運動させて投げてみると分かります。

 

 

他にも、ステップで前進しなくても、ある程度脚を開いて、その場で膝を使って前後に動いてエネルギーを生み出して投げれば、

 

ほとんど変わらない球速で投げれることが分かります。

 

 

 

野球本の著者、コーチのみなさん。

 

並進運動、回転運動、大いに結構。でもそれよりもっと大事な部分があるんじゃないですか?