肩甲骨から指先までの動き

肩甲骨から指先の部分はドラマのメインキャスト

 

ボールを直接加速するのは、数本の指です。

 

 

指は単独で動くわけではないので、

 

 

指を加速するために腕が加速し、

 

 

腕を加速するために全身を動かすわけです。

 

 

ドラマでいえば、指が主役で、腕は準主役、肩甲骨は脇役、いわばメインキャストです。

 

 

結果への影響度がわかりやすく、外から見える部分、分かりやすい部分です。

 

 

その他全身は、監督、カメラマン、照明、シナリオライターなどの直接見えない裏方といったところです。

 

 

結果への影響度がわかりにくいけれども、重要な役割をしている部分です。

 

 

 

 

投球でも、ドラマと同じように、主役を引き立てることを念頭に台本(フォーム)ができ、その台本に沿ってスタッフ(全身)が動きます。

 

 

ここまでの全身の動きはすべて、メインキャストを引き立てるために存在したわけです。

 

 

メインキャストである、肩甲骨から指先の部分はどう振舞えばいいのでしょうか。

 

 

 

 

若手俳優が演技力がなくても大丈夫な理由

 

ドラマには、大手事務所の20歳前後の若手俳優ばかりが出演する枠があります。

 

 

彼らは演技に関してはほとんど素人ですが、それでも一応ドラマとしては見れる出来栄えに仕上がります。

 

 

それは、そもそも演技力があまり必要じゃないように、

 

 

(例えば台詞を短くするなど)作家が仕上げていたり、

 

 

配役の相性を考えて監督が選んでいたり、

 

 

演技よりも顔やスタイルに注目が集まるようにカメラのアングルを工夫していたり、

 

 

といった裏方の様々な工夫があるからです。

 

 

 

 

この状況は投球に似ています。

 

 

いいドラマを作るため(球速を出すため)に、

 

 

若手俳優にひたすら演技指導をする(とにかく腕を振ってスピードを出そうとする)と、

 

 

俳優の持ち味を消してやる気も失わせ(腕のポテンシャルを消して、怪我もさせ)ることになり、

 

 

結局いい作品(球速)には繋がらないのです。

 

 

腕は、自分一人じゃ何もできないけども、舞台を完璧に整えてやれば視聴率をとれる

 

 

そういう若手俳優のような存在です。

力みややる気は邪魔にしかならない。

 

先ほどの状況で、若手俳優が、「俺が頑張って視聴率をあげてやるぜ!」

 

 

と意気込んでスタンドプレーをしたらどうなるでしょうか。

 

 

彼はまだ若く、裏方の価値や仕事の中身などを把握していません。

 

 

視聴率は主役である自分の能力次第で決まると思っているのです。

 

 

 

結果は明らかです。

 

 

折角お膳立てした裏方の準備や努力は台無しとなり、

 

 

作品はチグハグなものになるでしょう。当然、視聴率は望めません。

 

 

 

 

投球もこれと同じで、

 

 

腕の力で球速を上げてやるぜ!という意気込み、力みは、

 

 

お膳立てした下半身や胴部の動きを台無しにし、

 

 

球速は全然出ないということになります。

 

 

勘違いそのものをまず直す。

 

腕そのものを振って球速を上げようとする考えは、そもそも、

 

 

裏方である全身の動きの本当の価値を分かっておらず、

 

 

あるいは知識としては知っているが、信じておらず、

 

 

「腕の力で球速が決まるんだ」という勘違いから来ているわけです。

 

 

 

この勘違いを取り除かない限り、投げようとすると、

 

 

いつのまにか腕は力を入れようと動いてしまいます。

 

 

 

 

もう一度はっきり書きます。

 

 

ほとんどの人は、下半身の重要性を知識として知っていても、

 

 

本当の意味で理解していないため、信じていません。

 

 

「下半身が大事」という言葉だけなら、老若男女問わず誰でも知っています。

 

 

なので、表面上は知っているように振舞わないと、

 

 

恥ずかしい思いをするので、そうしているだけなのです。

 

 

なので、実際の投球場面になると、腕の力でなんとかしようとします。

 

 

全身が生み出す力を信頼し、腕が振られる感覚を身に着ける

全身の力を信頼し、腕に力を入れなくても速球を投げられる感覚を身に着けるには、

 

 

腕の素振りか、投げ込みを納得がいくまで繰り返すのが最適です。

 

 

これまでにそういった感覚を持っていない場合、

 

 

腕に力を入れなくても腕が振れるというのは信じられないと思います。

 

 

ですが、全身のポジショニングがうまくいけば、

 

 

ほぼ完全な脱力状態で腕を加速することができる、ということに気付くことができます。

 

 

最初のうちは試行錯誤ですが、何度もこれができるようになると、

 

 

「本当に腕には何も力をいれなくていいんだ。」「逆に力を入れると失敗するんだ。」

 

 

というのが心底理解できるようになります。

 

 

そうすると、速い投球動作の中でも、思わず力を入れてしまうことが無くなっていきます。

腕はポジショニングに徹するだけ

腕は「ほぼ完全に脱力」と書きましたが、

 

 

実際には完全な脱力ではありません。

 

 

それは、重力から腕を支えなければいけないのと、

 

 

ボールを握らなくていけないからです。

 

 

これらも最小限で済むように、フォームを作っていきます。

 

 

ボールを振り回さなくていいように、キャッチャーと自分の延長線にボールを置くようにし、

 

 

腕をなるべく支えなくていいように、全身の並進運動と腕の振り子運動を利用して

 

 

トップの位置まで腕を運びます。

 

 

ですが、マウンドの調子などでうまく腕がゼロポジション付近まで上がってくれない場合があります。

 

 

そういった場合には肩の力で微調整するわけです。

 

 

 

実際にボールを投げるときにはコントロールも必要です。

 

 

練習でうまくコントロールできたときの感覚を覚えておき、

 

 

胴体と肩甲骨のあたりの位置関係や、投球動作のテンポを意識して

 

 

コントロールを修正していくことになります。

 

 

この際に、肩の辺りにほんの少し位置関係を修正するために力を入れることはあります。

 

 

このように、「ポジショニング」の調整ためにほんの少しの力を入れることはあります。

 

 

とはいっても、トップの位置(一番腕が外にしなった状態)から加速が始まってしまった後に力を入れることはありません。

 

 

 

 

また、リリース時には、反作用に負けずに強くボールを押し出すために、力むような瞬間がありますが、

 

 

どう動かせば良いか?と考えて動かせる代物ではないので、

 

 

「投げる瞬間、手首にグッと力をこめる」とか、「腕が振られて出てきた後、最後にボールをビュッと弾く」のように、

 

 

大雑把なイメージで修正を試みるのが得策です。

 

 

(未定稿)